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西陣帆布

〜kindle版 『稼ぐデザイン力!2.0 より引用〜
 
 西陣織とテント・建築業界という面白いコラボが現在進行中です。

 西陣織はご存知のとおり京都の西陣地域で織られている伝統的織物です。一方のテントのグループは、名古屋の丸八テント商会を中心とした3社です。 
 両者とも同じ生地を扱っているわけですが、西陣織は和装を中心とした服地分野であり、テントは帆布を中心とした主に屋外の建築分野です。今まではほとんど接点がありませんでした。そして、この2つの異業種の企業がコラボして生み出そうとしているのは、自動車の用品であり、ファッションアイテムであり、インテリア製品です。どうしてそのようなコラボが生まれたのでしょうか。背景を見てみましょう。
 
 まず業界の近年の状況です。西陣織業界は、和装を着る人が少なくなったことで、売上が年々下がってきています。35年前が売上げのピークであり、それに比べて今は2から3割くらいの売上規模に落ち込んでおり、廃業する事業所も多くなっています。
 西陣の一企業であるフクオカ機業も同様の状況であり、和装を中心とする生産だけではこの先も生き残っていくことは難しいと考えていました。
 
 一方のテント業界。こちらは価格競争が激しい業界です。主に扱うのは店舗のオーニングテントや工場のテント倉庫などです。業者同士の価格競争や発注先企業からの値引き要請が強く、薄利多売の業態が長く続いてきました。何とか安定的な利益が期待できる商材はないか、という思いを長く持っていました。
 
 どちらの業界も、このまま今の業態を続けていては危ない、何か新しい事業をはじめなくては、という状況に置かれていたのです。これは日本のほとんどの業界においても必要に迫られていることです。本業は年々事業環境が厳しくなっています。日本市場自体が少子高齢化や不況でシュリンクしているため当然のことです。そこで、何か新しい事業をはじめるきっかけがほしいが、なかなか見つからない、というのが多くの企業の現実ではないでしょうか。
 
 両者のコラボのきっかけは西陣織業界からテント業界に相談を持ちかけたことでした。西陣織では帆布のような西陣織は作れないだろうか?と考えていました。今は和装などでしか西陣は使用できないが、これを屋外でも使えるような生地にすれば用途が大きく広がるのでは?と考えたのです。

 様々な企業に問いあわせたところ、それに応えたのが名古屋の丸八テント商会・マサケン・寺田産業を中心としたグループです。帆布は価格が安く利益が薄い。西陣のようなブランドを持った帆布を作ることができれば高付加価値の生地ができる。両者の思いは一致し、数年の開発期間を経て出来上がったのが「西陣帆布」です。

 「西陣帆布」は印刷ではない本物の西陣の織り技法が使われていながら、雨にぬれても大丈夫という特性を持っています。また耐久性や防炎性に優れ、屋外の過酷な環境下でも10年近くの長期間にわたって使用が可能です。柄は自由に織り込むことが出来、かつリサイクルのペット素材を使用しているため環境にもやさしくできています。機能性に加え西陣織の見た目の美しさも兼ね備える業界初の生地なのです。
 
 現在この「西陣帆布」を使って取り組んでいるのは、靴をはじめとした紳士用のファッションアイテムです。今までに無い大胆な生地使いが特徴で、今後も鞄や財布など色々なアイテムを開発していく予定です。

at 17:55, プロフィール, 経営とデザイン

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