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「ビールと発泡酒の違い」

『稼ぐ「デザイン力!」―経営者・管理職のためのデザイン戦略入門』(アーク出版)より引用

【解説】

 たとえば、ビールと発泡酒を考えて見ましょう。一流と呼ばれる店で、ビールを注文したのに発泡酒が出てきたらあなたは我慢できるでしょうか?

 たいていの人はお店に「なんだこれは! 客をばかにしているのか」と怒り出すに違いありません。2度とこの店には来ないと思うでしょう。ビールと発泡酒は見た目は同じですが、ビールが好きな人には全く別物です。

 

 ところがデザインの場合、ビールが発泡酒に置き換えられて、それで通ってしまうことがよくあるのです。

最初デザイナーは、自分のデザインの意図どおりのものをイラストとして描きます。その絵には素材や形状、企業ロゴの正確な位置まで表現してあります。もちろん、使いやすさや製造コストまで考えてデザインされたものです。

デザイナーとすれば、できればそのままの形で製品化されることを望むわけですが、一方で商品化するうえで、そのデザインが成り立たない場合もあります。それは、設計上の不都合であったり、営業サイドの意見であったり、コストであったりとさまざまですが、むしろそれは当然のことです。そこでこうした後から出てきた各種の条件を、再度デザインに反映させながらベストの商品を作り上げていくのが腕の良いデザイナーの仕事といえます。

 

 しかし、会社によっては商品開発の過程で、デザイナーはイラストを仕上げた段階で外れ、後の工程がすべて設計など他の部署にお任せになってしまうところがあります。 

ここが一番間違いが起こりやすいポイントです。

デザイナーが外れた後の商品開発では、商品開発に関わる各部門のそれぞれの意図が大きく影響してきます。

設計サイドとしては、できれば自分たちの設計がやりやすいように、また購買部門からはなるべく安く、営業サイドからはなるべく豪華にして売りやすいように、などなど要求が出てきます。そのためにデザインの一部を勝手に変えてしまうことがよくあるのです。ところが

 

些細な部分こそ、デザインにとって重要な場合が多い

 

のです。部分的に変える設計者や営業マンに悪意があるわけではなく、ほんのささいな変更です。

 例えば、

*素材を変える。

*ロゴの位置を変える。

*透明部品を不透明部品に変える。

*デザインの線を5mmずらす。

しかし、これが冒頭に話した「ビールと発泡酒」の問題そのものなのです。ビールの素材を変えてしまえば発泡酒になってしまいます。

同じように些細なデザインの変更で、デザインのバランスが大きく崩れることがあります。デザイナーにとっては、ビールを発泡酒に勝手に変えられてしまったのと同じくらい、とても大きな変更である場合があるのです。「味」がおかしくなってしまうのです。

 

 こういった間違いを防ぐにはいくつか方法があります。

     最終デザインモデルを必ず作る

一つは、デザイナーサイドで最終模型を作ってしまって、デザインは一切変更不可能(デザインフィックスと呼ぶ)としてしまうことです。一部でも変更する場合は、必ずデザイナー側の承認を得るようにしておきます。そうすれば、デザインを勝手に変更してしまうということはなくなります。

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もう一つは、デザイナーとのコミュニケーションを密にとることです。幸い現在ではメールで画像のやり取りが簡単にできるわけですから、設計、営業など各部門がデザイナーと密に連絡を取れるようにしてしておけば問題は起こりにくくなります。

 

いったん崩れたデザインは後で元に戻そうと思っても、金型などが進行してしまっていて戻せなくなります。戻そうとすれば開発スケジュールが大幅に遅れますし、そのまま市場に出してしまえば売れない商品になってしまいます。どちらにしてもビジネス上は大損失となります。こういったミスが起こらないように、社煮のデザインのシステムを良くチェックすることが必要です。

 

【デザインの具体的ヒント】

1.例えば時計の設計者にとって、内部機構の1ミリの変更は大きな問題のはずです。1ミリ以下の部品がたくさん入っているからです。同じようにデザイナーにとって1本の線や1つの穴が重要です。

 

2.経営者は細かい部分はプロのデザイナーに一任して、大きな方向性を常にチェックすることが大切です。例えば今回の商品は「低コスト」がテーマなのなら、「デザインで低コストをいかにカバーするか」ということを厳しくチェックする必要があります。

at 18:54, プロフィール, 経営とデザイン

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