<< 「クリスマスの約束2011」 | main | CFRP自動車 >>

斬新なデザインとは?

  

『稼ぐ「デザイン力!」―経営者・管理職のためのデザイン戦略入門』(アーク出版)より引用

■デザインの進化

【質問】

よく「このデザインは新しい」とか「斬新なデザインだ」という言葉を耳にします。今まで見たことが無い、という意味で使われますが、では新しいとか斬新と見る人が感じるのはデザインのどのポイントを見て感じるのでしょうか。1つ考えてみてください。(例…柄、色など) 

 

【解答】

「新しい」とか「斬新」と感じるデザインの大きなポイントの1つは「シルエット」にあります。シルエットとは、柄や装飾を省いた全体の形のことです。影絵の影の部分と考えてください。

 

【解説】

 「斬新なデザイン」と聞くと、車が好きな人はフェラーリは斬新なデザインが多いと言うかもしれません。デジタル家電が好きな人はアップルのデザインは遊び心があって面白いと言うかもしれません。

 

さて、デザインの現場においても常に求められるのは「斬新さ」です。「見たことがない」とか「他社に似ていない」という意味です。

しかし、斬新さだけを求めてデザインすると、だいたいが「奇をてらった」「風変りな」デザインで終わってしまうことが多いものです。これらは、デザインではなく形のみを追ったスタイリングです。表面を変えようとして四苦八苦した結果です。

 

 実はこういった「斬新な」デザインの依頼元は経営者だったりします。自社のデザインがマンネリ化している、他社と比べて新しさがない、と感じられる場合に、企画部門やデザイン部門に「何か斬新なデザインを」と注文するわけです。その結果「奇をてらった」「風変りな」スタイリングが出来上がってくることが多いというわけです。

 ではそもそも「斬新な」デザインとは何なのでしょうか? 人は何を見て、あるいは何を感じて斬新だと判断するのでしょうか? これは心理学的な面でも面白い研究かもしれません。

 

現場にいて感じる印象は「シルエット」です。

シルエットというのは影絵の影です。つまり商品全体の影絵のことです。シルエットが変わると「進化した」デザインに見えます。色や装飾のわからない全体のシルエットが進化の一番わかりやすいポイントです。 

具体的に車を取り上げてみましょう。初期の車、フォードのT型は人が乗る「箱」の前にエンジンの箱がついた形状でした。横から見たシルエットは前に小さな箱、後ろに大きな箱の付いた形状です。次に、エンジンを小さく作る技術が進歩すると、エンジン部分が小さくなり、人の乗るキャビン部分が大きくなります。イラストの真ん中の形、つまり現在のセダンの形が生まれました。

 これがさらに進化したのが現在ハイブリッドカーなどに採用されることの多い「ワンモーションフォルム」です。イラストで言うと一番下のシルエットに進化しているわけです。エンジンはもはやどこにあるかわかりません。

 

シルエットが変わるためには、新しい技術や提案が不可欠

 

 つまり、技術の進歩に伴ってシルエットが変わり、デザインが「斬新」になっているわけです。このような車に見られるようなデザインの進化は、すべての生産物に当てはまります。

オーディオセットを考えてください。蓄音機、ジュークボックス、システムコンポ、ラジカセ、ウォークマンとシルエットは劇的に「進化」して、いまや一本の棒のようなデジタルプレーヤーになってしまいました。シルエットは百分の一くらいになったわけです。

 

 斬新なデザインを求めるなら「シルエット」を変えることが第一となります。そして、その「進化」のためには「技術の進化」が不可欠となることも忘れてはいけません。「技術の進化」なしにスタイリングだけを変えようとすると「奇をてらった」「風変りな」デザインしかできてこないのです。

 

では技術的に進化が少ない商品、例えば冷蔵庫などは四角い形が変えようも無いと思われるかもしれません。

しかし、冷蔵庫は部屋の隅にあるものだと考えるから変わらないだけです。冷蔵庫をリビングの中心に持ってきたらどうでしょうか。当然高さは低くなり、ドアも上開きになるかもしれません。生活のスタイルの変化を考えた新しい商品企画を考えてもモノのシルエットは大きく変わります。

at 10:01, プロフィール, デザインのヒント

comments(0), trackbacks(0), - -

comment









trackback
url:http://2011.design-power.biz/trackback/42