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事例:モナッカバック(エコアス馬路村)

「稼ぐデザイン力!2」より


  エコアス馬路村が最初に作っていたのは、木の積層品を成型したトレーでした。現物を見せていただきましたが、確かに本物の木で作ってあるので質感が高く長く使えそうです。しかしこれを売ろうとすると大変なのがわかります。

 トレーは数多くの競合商品があります。100円ショップにもプラスチック製品がたくさん並んでいます。消費者は本物の木だからと言って高い値段を出して買ってくれるとは限りません。実際、当初は木のトレーの売れ行きはあまり良くありませんでした。


デザイナーと企業の幸せな出会い
 この頃出会ったのが、デザイナーの島村さんです。高知県出身で車のデザインや家電製品など幅広く手がけていた島村さんが、たまたま取材で馬路村を訪れたのがきっかけでした。
 成形された木のトレーを見て、島村さんは「これはもっと良い使い道があるのではないか」と直感したそうです。そこで、事務所に帰ってから幾つかの商品アイデアをエコアス馬路村側に提示することにしました。そのアイデアの1つが木のバック「モナッカシリーズ」の原型だったのです。
 デザインの提示を受けたエコアス馬路村サイドで検討した結果、ぜひ島村さんと組んでバックの商品化に取り組もうということになりました。

 開発途中では、商品開発担当者の山田さん達とデザイナーの島村さんで意見が食い違うこともあったと言います。しかし、同じ高知県の出身で、お酒も大好きということで、議論しながら良い商品が出来上がって行ったといいます。

 発表後、モナッカバックはミラノサローネなどの海外の展示会でも大きな評判を呼びました。グッドデザイン賞などの賞も多く獲得しています。特に人気が高いのは、「Bag kaku」で、東京を中心とした都市部のビジネスマンに人気があるそうです。


社会の課題に向き合うデザイン
 林業の衰退が問題になってかなりの年月が経ちます。

 高齢化や人口減少で林業の担い手自体が減っています。地方の山林では荒れが目立つところも多くなっています。そうした中、エコアス馬路村の取り組みは際立って興味深いものです。


 間伐材を間引いて森を保ちながら、それをスライスして積層成型したバックを都会の消費者に届ける。その資金で、林業の雇用を維持し、森を守って行く。

 この仕組みが確立されると、産業としての林業を永続させる可能性がでてきます。モナッカプロジェクトでは、そこにデザイナーが効果的に関わることができていることが特筆できます。社会的な課題を解決できる仕事に携われるのはデザイナー冥利に尽きる仕事なのです。


 消費者は、「環境を守ることができるから」「サスティナブルだから」と言って、興味のない商品は誰も買ってくれません。魅力のある素材をどう生かし、どうデザインし、どう商品化して売っていくか、そこにこそデザイナーの活躍できる場所があります。モナッカプロジェクトはこれがとてもうまくできている稀有な例です。

 

 実際に工場での製造の様子も見せていただきました。当日は工場が休みだったためプレスなどの機械は稼動していませんでしたが、プレス前の木のスライスや積層して成型されたプレートが工場内にありました。

 実際手にとって見ると、木でここまできれいに成型できるのか、と感心するほどきれいに成型されています。木が成型できる、という感覚自体がそれまでありませんでしたので新鮮な驚きを覚えました。

 実際、成型する際のひび割れやそりが課題だったそうで、それをうまく解決したことで、木のトレーやモナッカバックの商品化に結びついています。

(続きは書籍本文でご覧ください)

at 17:57, プロフィール, 経営とデザイン

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